糖質制限の初心者にオススメ!『炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~』レビュー

本記事でご紹介する本のタイトルは、コチラです。

出版社 :光文社
著者  :夏井 睦
タイトル:炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~

著者情報

著者は、夏井 睦(なついまこと)

東北大学医学部を卒業、練馬光が丘病院「傷の治療センター」長をされている現役の医師です。

著者は、もともと外科医なので、ダイエットや食事療法については専門外ともいえますが、自身で糖質制限について研究・体験した経験談なども踏まえて、医師としての視点で糖質制限について解説しています。

いやむしろ専門外だからこそ、忖度のない中立の立場で、本音を語ることができているのかもしれません。

本書の面白さは、著者の夏井氏が、これまでの医学の常識にとらわれることなく、糖質制限について語っている点にあるといえます。

本書の特徴は?どんな人におススメの本?

本書のテーマ

本書のテーマは、一貫して「糖質制限」ですが、序盤・中盤・終盤で話の展開が大きく変わります。

序盤では、著者自身が糖質制限を実際に試してみてわかった糖質制限の効果について、体験談をもとに丁寧に説明しています。また、「糖質とはなにか?」といった基礎的な知識についても解説されているので、糖質制限に興味があるひとにとっては興味深い内容になっています。

中盤では、糖質制限を実際にやってみようと思ったときに直面する”さまざまな問題”について解説しています。というのも、糖質制限というものは、いままでの医学や健康の常識を一挙にひっくり返すようなパラダイムシフト(変化)なので、それゆえに、受け入れ難いと感じる否定派も多いのです。

また、「糖質とはなにか?」という疑問を深堀りすることで、糖質を取りすぎることによる健康被害や、「糖尿病治療の問題点」と「医学界の闇」についても明らかにしています。

終盤では、糖質制限というテーマからさらに飛躍して、「人類の歴史や起源」という壮大なテーマにまで話を膨らませています。

本書の特徴

本書の特徴を3点ご紹介します。

1.筆者自身の糖質制限の体験談が書かれている
2.糖質や糖質制限について、基礎的な知識を丁寧に解説している
3.人類の歴史をさかのぼって、糖質と人類のかかわりについて語っている

本書は、糖質制限の体験談から始まり、基礎知識、人類と糖質のかかわりについてまで幅広く解説しているのが特徴です。

ですから、「糖質制限に興味があるんだけど、ほんとうに大丈夫?」というように不安や疑問があるひとに読んでほしい一冊です。

本書で印象に残った内容のご紹介

本書のなかで特に印象に残った部分について、本文を引用しつつご説明します。

パラダイム・シフトにおける個人と組織

本書引用

Ⅲ章「糖質制限にかかわるさまざまな問題」

3.パラダイム・シフトにおける個人と組織

からの引用です。

じつはこの糖質制限も、パラダイム・シフト級の変化であり、それゆえに、「個人で糖質制限を始めるのは簡単だが、集団に糖質制限を導入するのは困難」ということになる。家庭という社会の最小単位ですら容易ではないのだから、会社とか地域社会のような大きな単位になればなるほど、糖質制限というパラダイム・シフトは、さらに受け入れ困難となるのは当然だろう。組織は大きくなるほど保守的になり、大きな変化を受け入れたがらないものだ。

本書より引用

ブログ管理人の感想

この部分について、わたしはとても共感しました。

「糖質制限=危険」というのがいまの世間のイメージだと感じています。ですが、そのように主張するひとの意見を聞いてみると、まるで論理的な説明ではないことがわかります。

つまり、個人レベルでは糖質制限に理解を示すひとはいても、組織とか社会という大きな単位になると、否定派が多くなる。

このことは何についても当てはまることで、糖質制限も例外ではないということです。

重要なことは、テレビやマスコミのコメンテーターのようにいい加減な情報を鵜呑みにせずに、自分で情報を取捨選択して選び取っていくことだと思いました。

糖質制限を否定するなら、本書を読んでからでも遅くはありません

「甘くない」デンプンの罠

本書引用

Ⅳ章「糖質制限すると見えてくるもの」

2.「甘くない」デンプンの罠

[素うどん1玉]=[角砂糖約 14 個]という数字を前に紹介した。しかし、角砂糖 14 個はとても食べられるものではないが、うどん1玉なら一気に食べられるし、多くの男性にとっては、1玉のうどんではとても足りず、2玉、3玉と食べる人も珍しくないはずだ。同様に、 14 個の角砂糖がお茶碗に盛られているのを見たら、私は胸焼けしてしまうが、お茶碗1杯のご飯を見て胸焼けはしない。ようするに、砂糖は大量に食べられないが、同じ量の糖質を含んでいるデンプンなら、いとも簡単に食べられるのだ。理由はいうまでもないだろう。デンプンは食べやすいからだ。

本書より引用

ブログ管理人の感想

「角砂糖いくつ分」という表現自体はむかしからあるように思いますが、わたし自身はあまり関心をもっていませんでした。どこか「ひとごと」だと思っていたのかもしれません。

しかし、自分で食後の血糖値を測定するようになってから、考えが一変しました。

砂糖たっぷりだと思っていたチョコレートよりも白米を食べたときのほうが血糖値があがる(もちろん食べる量によりますが)ことを体験してから、自分の健康に関することとして実感するようになりました。

▼こちらの記事のように、いろいろな食べ物の血糖値を測定しています。

白米の怖いところは、甘くないためたくさん食べることができてしまうことです。糖質を取りすぎてしまう。さらにいえば、世間一般では、白米をたくさん食べることは栄養を取ることで、”良し”とされていることも問題です。

しかし、体にとっては白米は角砂糖のかたまりを食べていることと大差はないし、むしろ食べすぎても体に悪いという自覚がない分だけタチガワルイということだと思いました。

炭水化物は必須栄養素なのか

本書引用

Ⅴ章「糖質制限すると見えてくるもの」

3.炭水化物は必須栄養素なのか

しかし、糖質制限の存在を知り、それを自分の体で実践するにつれ、この「三大栄養素」の概念がそもそも間違っているのではないか、という疑問が浮かんでくる。

(中略)

人間の生存に欠くことができない必須脂肪酸と必須アミノ酸に関しては、食事で外部から取り入れるしか方法がないが、炭水化物に関しては、アミノ酸を材料にブドウ糖を合成する「 糖新生」というシステムが人間には備わっていて、タンパク質さえあれば自分で作り出せるからだ。

ようするに、必須脂肪酸や必須アミノ酸のように、「人間が体内で生合成できないから、いやでも外部から取り込むしかない」という意味での「必須炭水化物」は存在しないのである。つまり、「必須栄養素としての炭水化物」を大前提に理論体系が組み立てられている栄養学という学問体系自体が、 砂上の楼閣なのである。

本書より引用

ブログ管理人の感想

糖質制限を否定するひとが決り文句のように主張するのは、「脳は糖を栄養にする」から、炭水化物(糖質)をきちんと取らないと危険だ、という意見です。

しかし、上の引用にあるように、人間は「糖新生」という代謝経路を備えているので、糖質を直接とらなくても体内で合成することができます。さらにいえば、ケトン体という物質もエネルギー源として利用することができます。

以上のことから、糖質を直接たべものから摂取する必要性はありません。これに対する糖質制限否定派の反論を見たことがありませんし、せいぜい「いやいや、極端な糖質制限は〜」と口をモゴモゴするくらいです。

つまり、世の中には自分の意見を大きな声で主張するひとがたくさんいますが、ほとんどの人達はマスコミの情報を鵜呑みにして、根拠のないことを盲信しているわけです。声の大きな人たちは、もう少し科学に対して謙虚になるべきではないでしょうか。

まとめ

本記事では、糖質制限のバイブルともいえる『炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~』について、レビューをしてみました。

わたし自身の主観も含んだレビューになっていますので、興味があるかたは、ご自身で読んで内容を確かめてみてはいかがでしょうか。

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